【sh0ck0FF】

雑記

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(2013/03/27)
藍は空漠、縹が深きを染め出でて、朱を燈影とせしめん。
驀地に諸処の旨意を包みて寂しく眠を想はしむる。
白く薄紅帯びて鮮やかに、戦ぐ髪息亦白く桃色の厚みを艶に咲かせん。

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雪は未だ融けないでいた。
外套を羽織るのを忘れるくらいの日和の中に、雪が物質の様に静かに積もっていた。
街灯の下に群がる蛾は、無機的な光の向こうを側を知らないでいる。
況や宙を羽ばたくその触覚の虚しく映るのが、有機的な感情で捉えらるることはない。
虫取り網の先の幽閉す可く箱には可逆的な蓋を施す余地はなかったのだ、と思い出す。
「生きている事が罪なのですか。」イチジクの種を零す切り込みの如き厚みの重なりが、二度、三度ポツリ、と震えた。
「ええ。原罪からは逃れられません。誰もが洒落込んだ枠の付いた額縁の中に、自身の写像を残すことは出来んのです。」浮かんでは消えるあぶくの様な物言いが、カフェインが切れた、と一言、膨らんだ茶のポケットから錠剤を取り出した。
ふう、と埃で汚れた薬箱に息を吐いた後、銀色のスプーンは黒い渦に、ぽちゃんと呑まれ、幾百年か前の思想を体言していた。
「主義に巻かれた帆船の舵は、直らんのです。数年前にも沈んだでしょう。アレです。」物言いは具にその記事の載っていた新聞のことや、船舶についての類推を、羅針盤の様にその人の前に開いて見せたが、罪深きその人は、ぽかん、と渦巻くコーヒーの水面にヨットを浮かべては沈んでいく有様を見て、唇を少しだけ歪めた。
「死ぬことは贖罪に成り得ますか。」
「自分で遣っちゃそれは大罪です。浄土宗を御覧為さい。遣っちゃあ成りません。」
「はあ。そうですか。じゃあどうすれば救われるのでしょうか。」
くすんだ玻璃窓は排気ガスとカフェを隔て僅か先の路地にセピアの素描を錯覚させた。
標本の如き静物性に満ちたカフェは水槽を揺らぐ観賞魚の様に時間を悠然と食らっていた。
物言いは頻りにカフェインを欲して白い陶器を啜りサラサラと渦を巻くコーヒーの白い帯がスプーンの柄で分かたれてその煌びやかな装飾が食虫草と子蝿の関係の相似如くその罪人を夢現にさせていた。
「彼処の雪、未だ融けませんね。温かくなって久しいのに、未だ。」左の手が髪を梳かして行き場を迷った中指が手首の錯綜的自縛の跡をなぞった。
窓の外に積もった雪は街灯の灯りを受けてその景観からゆっくりと消えゆくのを待つのみであった。

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(2012/06/02)
軍事利用出来そうな程の懈怠な気持ちを打ち上げて その窓から見えるくらいのビルの屋上を越したら
たぶんテレビでよくやるような料理番組のレシピくらいには落ち着いた日常が段取りされるさ
ダブステップみたいな交通渋滞 イヤホンジャックに繋ぐみたいにルーチンワークな身体でのやり取り 出し入れ
右上の検索窓から調べられるくらいの正当性なんて誰が喜ぶか 筆箱に常備できるくらいの正義感でさ うん
結局の所媚びてるだけさ サングラス掛けて路地を歩く様なもんだろう

朝陽がカーテンを抜けて顔に注ぐ
冷凍庫で保存できる様な情熱を葡萄をもぎる様に朝食を済ませて
何時も通りボトルに入れた水を飲む
左クリックくらい他愛も無くバスに乗り込み 感動も無く学校に着く
右クリックくらい若くも無く作業をこなし 情動も無く授業を終える
手を繋いで歩けば少しはマシになりそうな夕方に考え事で頭がいっぱいになる
規則的に並ぶ歩道のレンガを買ったばかりのスニーカーでぶらつく
壇飛ばしになった靴紐に気づくことも無く頭の中にこれからのことといままでのことがいっぱいに膨らむ
昨日食べた魚のこととか明日食べる野菜のこと アダムとイブのこと
その家計図からあみだクジで選ばれたのがこの人生さ
ハズレとアタリの組み合わせはきっと理不尽なくらいスペランカー
強くてニューゲームはたぶん意味ない 十字上が壊れてるから
『あなたのは純粋じゃない 我侭なだけだわ』
虫歯に気づくみたいにハっとする 左手に触れる右手が汗ばむ
体中に寒気を感じて 撫でる所から鳥肌立つ様だった
左手に触れた右手を掴んで歩き出す 何時かもそこにいて何時かはそこには無くなる
無くなる様なら何時だって思い出す 無くす度に思い描く
描く度にきっと楽しくなる んなわけないと思いなす

夕日が綺麗だ 水辺なら最高なのに でもグラデーションがとても素敵だと思った
オレンジが更けていくところが綺麗だ 薄らと見える星々が綺麗だ 道行く人の話し声が素敵だ
夕食の事を考えてお腹が空く 魚なら良いなと思った そこにジュースもつくなら最高だと思った

(2012/05/28)
何時かの帰り道を思い出すみたいに何時かの夕食を思い出すみたいに何時かの幸せを思い描くみたいに
そうやって生活を凌いで そうやって心を削いで そうやって朝食を作るように生きようとしてる
コップに汲んだ一杯の紅茶にシロップを垂らす 一滴一滴落ちる様子を何時までも見ている
ジャズはいやよ と彼女が言った
楓の葉の先に似た装飾の着いた古びた扉に手を掛けた
その取っ手の上端に乗っかる獣のオブジェが宙を意識した後に視線をどこかへ投げた
バラードもいやよ と彼女が言った
意識の合間に息づく妙な気遣いが今朝の占いの結果に泥を塗る
古着屋から掘り出した黴臭い言葉で自身をやり込める
何かが足りている訳でも何かが欠けている訳でもない
生産性も消費性もブックカバーを着けた糞高い紙の束同様だと彼は思った
その値札が付けられた言葉に士気を貰うも涙を零すも感嘆するのも
その値札を読み取るやけに肥えた小さな箱の一存だったのだ
右往左往する灰色の鳥の群れが綺麗に宙を彩る その一方で泥や糞に塗れた地が残る
何時かの好きだった歌を思い出すみたいに何時かのお弁当を思いだすみたいに何時かの幸せを思い描こうとする
そうやって懸命に笑おうとする誰かが僕は好きだと思う

(2012/05/21)
目を覚ました時聞こえたのは風が木々を揺らす音と誰かの驚く声だった。
目を開けた時見えたのは視界いっぱいに広がる汚れた天井と其れと同じ色の机だった。


ベッドに腰を下ろして壁に凭れていた。
僕の左手が誰かの右手を砂を浚う様に優しく撫でていた。
窓からは薄い月の光が部屋を照らすだけで古い映写機みたいに何もがぼやけていた。
頬に触れて痩躯を抱いた。指の間をするりと抜ける長い髪が甘い匂いを香らせた。
誰かの左手を僕の右手が繋ぎざらりとしたレンガ詰めの遊歩道を歩く。
新緑の広葉樹が光を受けて風に揺れ葉が落とす影を見ながら歩を進めた。
見えてくるのは緑と青ばかりで遠くの方に角砂糖の様に真っ白なサナトリウムが見えた。
甘いシロップみたいな日々だった。吹き掛ければ散り散りになり飲み干せば何も残らない。
そこに在るのは気持ちばかりで幾つも並ぶコンクリート建ての箱がゆっくりと崩れていく。
汗ばんだ右手と左手がつくる影が揺れている。
遠くの方から聞こえる楽しそうな声が茶色ばかりで作られた路地に反響する。
帽子が揺れる。白いドレスが揺れる。白い肌に光が射して青い空が揺れる。
少しばかり早くなった歩みで白と茶の砂を踏みつけ急いだ。
噴水が水飛沫を散らしその棚引き越しに太陽を見た。
夕暮れは来ない。どれだけ歩いたって夕暮れは来ない。いつになろうが来ることはない。
静かに揺れる影。繋いだ手はいつまでもそこで落ち着いていた。


ジョンの話

(2011/02/26)

僕が小学生のころの話だ。

僕の家はオレンジを水で薄めて泥で汚した様な色をしていた。
家から少し歩いた辺りの道は、舗装のない砂利道で、僕らの無邪気に無関心な曇り空はまた水貯まりを作る機会を伺っていた。

僕らの遊び場近くを流れる川には魚が泳いでいたし、雑草が茂る土手下には秘密基地を作ったりもした。

僕の友達の一人は愛犬のジョンだった。
彼とはよく散歩にもいったし、いかなくて親に怒られたこともあった。
僕は彼から哲学を教えてもらった。
当時の僕に理解出来ることは少なかったけれど、今となっては僕の価値観を形成する大切なものであることに間違いない。
彼は、倫理や道徳、愛や正義についての話をすることが好きだった。
綺麗に生きることとはなにか、そういったことを散歩道、小一時間ほど語るのが日課だった。
ジョンは賢い犬で、リードもいらなかった。ただ首に付けられた首輪に記されたその『ジョン』という名前だけが誇らしそうに煌めいていた。

小学5年生の夏、いつもの日課を繰り返し、僕は眠たい目を擦りながらジョンと話しをした。
ジョンは少し悲しそうに、でも希望に満ちた声で、「僕は旅に出るよ」と言った。
いつ行くのさ、と聞いたら、「もう明日の朝にでも」と。
その日、ジョンとの散歩はいつもより一時間長かった。
そして次の日の朝、僕はジョンを見送った。
ジョンはいつもの散歩道を離れ、僕の知らない道に消えていった。
いつも綺麗に片されていたジョンの小屋を見ると、肉球の跡がついた一片の紙だけが残っていた。

輪郭

(2011/02/15)
誉めるべくもない けなせるわけでもない 景色

まるで雨が降った後のアスファルト のような 景色 光

誰かが誰かを叩く様な景色
人間が人間であるための景色

アパートの一室でレイプに会う少女
盲目の踊り子とレグジェクト

暖かい気持ちでいられるための絞首刑

遊歩道にころがる剥がれた首と髪 そういった景色

(2011/02/15)
小さな間違いと小さな波紋
あなたは僕のとなりの座席でフィルムを見ていた
あなたのとなりの座席の小さな僕
小さな感情と小さな形で
僕は何か見なければならないものを見逃した あなたのフィルムで
償いは干渉
間違いは回折し
僕とあなたの生活を振動させる
小さな粒子のあつまりとして
僕は生きていた

phi‐

(2011/01/19)
もう溶けきれないなら
森に出かけて、樹海の中で、実を摘み、笑う。

腐った時計はただ傷を開いて舐め合う。

セックス中毒の彼女と恋愛中毒の処女。
樹海の中でただ混ざり合うだけ。

そうしてまた、溶けきれない深海の中で、綺麗になれたらいいね、笑う中毒者。

白いよ まだ

(2011/01/16)

窓の上 カーテンレール その下
光 光が射す 冬の光 淡い

昨晩降り始めた雪は、僕の予想を塗り潰し、僕の自転車に覆いかぶさっていた。
一面の白だ。
一面の。

人の足跡はまだない。
僕の夢遊病だけが通りを往来して、神経に跡をつける。
刺さる様な空気だった。
冷たく、乾燥して、僕の温度と水分を奪っていく。

雪の中で、足の先を動かし、やっと始動しはじめた街を鳥瞰する。

ここは時計台だ。
どこからか管楽器と鍵盤の出す音が聞こえる。


階段を上る、上る、駆け上る。

まだ動かない時計の針を、群衆が見上げる。

上る上る。

溶けはじめた時計を思い浮かべながら、階段を上った。

突き当たった通路の一番奥、モーツァルトの音が聞こえる。

白い、白い、一面に、僕は身を投げ出し、溶け切ることのない、時計になった。

まだ、白い、一面、の中。

ジャム

(2011/01/16)


深淵に、僕は住んでいた。
妊娠と排他と樹海と悲劇。


俯いた青年は、秋の枯れ葉が燃やされる様に、笑う。
笑う。


グレープフルーツのジュースと、まるで空き瓶みたいな空想。
ジャムを詰めて笑う。
笑う。

俯いた青年は、悲劇と樹海と排他と妊娠を、笑う。
笑う。


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笑え。笑え。笑え笑え笑え。
「ここにいたいなら笑っていろ」


僕は深淵に、住んでいた。


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オブザーバーと傍観者との等距離に位置する場所で、僕は深淵に沈んでいく。

向こうからの景色を、深淵として見上げるために。


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妊娠と排他と樹海と悲劇。

青年は、グレープフルーツジュースの空き瓶にジャムを詰めながら、笑う。
笑う。

空想を詰めながら。

笑う。
©hiroea_2017.(RSS/管理/提供:AL2)
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